居場所を探し続けたアスペルガー女性の半生「地球生まれの異星人」感想

地球生まれの異星人

私は異質さを持って生まれてきた。

ある程度、
訓練によって
地球人との関係は楽になるかもしれないが、

決して地球人と同じにはなれないだろう。

また、同じでなくていいと思う。

地球生まれの異星人―自閉者として、日本に生きる 、泉 流星 (著)より)

こんにちは。三原たかです

自閉症スペクトラム、
(ASD、アスペルガー症候群)をもっています

大人の発達障害者です

本が好きで、
発達障害者の本も読んでいます

自閉症スペクトラム障害とは、
普通の人と、
ごくわずかに違う脳を、
持つことで生まれる障害です

違うことで、
周囲と異なる自分が、
異星人みたいに感じることもあります

(自閉症スペクトラムは、
アスペルガー症候群や高機能自閉症の総称です)

三原たか
「地球生まれの異星人」は、
そんなアスペルガーの女性の手記です

とても素敵な本です

ご紹介します

 

作者|泉流星さんの紹介

幼いころから世の中に違和感を感じていた

自分の居場所を求めて、
高校時代にアメリカに留学

経験を通して、
世界の多様さを楽しむようになる

学校を卒業して、
事務・販売の仕事に携わる。

適正のない職場で混乱する。

その後結婚

結婚生活に行き詰まりを感じ、
アルコール依存や摂食障害を経験

30代半ばで、
発達障害の診断を受ける

現在は、
技術特許やテレビ番組、書籍の翻訳業にも携わっている。

泉流星さんの他の本は、
発達障害の女性との結婚生活。異星人の側にいるために気をつけること「僕の妻はエイリアン」感想でも紹介しています

本の内容

30代半ばになって、
アスペルガー症候群の診断がついた女性の半生です

留学などを通して、
自分の居場所を探し続けます

そして自閉症と診断を受け、
本当の自分を知ります

子どものときから
診断を受けてこの本を書き上げ、
出版されるまでの物語です

感想

本を読んで印象に残ったことが、
自分の居場所を探し続ける、
ということだと思います

物語の時代は20年ほど前です

まだインターネットが、
本格的に浸透していません

スマホも、
ノートパソコンもない時代の話しです

SNSも登場していません

そんな環境の中で、
泉流星さんは、
自身が感じる異質さを日本にいるからだと考えました

居場所を求めることが、
高校2年生での、
単身のアメリカ留学につながりました

自閉傾向のある人たちは、
自分の居場所が、
どこにもないように感じることが多いと思います

例えば、
「自閉症だったわたしへ」という本、
でも似たようなことが書かれていました

関連記事:
彼女の世界は強すぎる。世界で初めての発達障害の手記「自閉症だったわたしへ」感想で紹介しています

ここじゃないどこかに、
自分の場所があるんじゃないかと

ぼくも、
子どものときによく考えていました

自分の場所が、
この世界に存在しないように感じていました

地元でも家でも、
ぼくがいる場所だと感じることができなくて、15歳のとき家を出ました

専門学校の寮に下宿しました

同年代の誰よりも、
家を出るのが早かったと思います

共感できたところ

ぼくが特に共感できたと思ったのは

十代半ばのときに、
数学が苦手だから言語力を特技にしよう、
と考えて留学したことです

今よりも昔の時代、
留学するのはとても珍しいことでした

ぼくの話ですが、
数学や理科が得意で、
逆に文系科目が苦手でした

だから、
少しでも得意なことを活かせる工業専門学校に進学しました

特技や、
得意になれそうなことを活かしたい

そのために、
ここじゃないどこかに行く

環境を変える決意は、
僕にはとても共感できることでした

自分のスキルで自分の居場所をつくる

泉流星さんは、
夫婦でシンガポールに2年住んでいました

夫の海外転勤のためです

泉流星さんは、
家事が苦手でしたが、
得意の英語と情報収集で夫を支えていました

夫婦で助け合って生活しているという感じになれた、
と書いてます

社交性や愛嬌ではなく、
スキル、能力によって

人から必要とされていることを、
実感していたんだと思います

環境の変化でアルコール依存症になった

しかし、
転勤が終わり日本の地方都市に戻ると、
環境が変化します

ストレスからアルコール依存症になります

本を読むと、
本当に発達障害の人が、
自分を活かせる場所というのは限られていると思います

自分を活かせる場所は、
かけがえのない場所です

自閉症スペクトラムのぼくも、
現在は働きやすい職場で、
機械エンジニアをやっています

技術職であるから働けていますが、
もし事務職や総合職など、
一般的な仕事になったら生活が難しいです

というよりも、
前職が総合職でつぶれました

ぼく自身、
衝動性を抑えて、
大きく環境を変えすぎないように、
意識しようと思っています

わるかったところ

読んでいて、
少しつらくなるところもありました

小・中学校時代に、
いじめられていた話

まわりから浮いていた話もあります

うまく学校に馴染むことができなくて、
小学校に入って仲間外れが始まります

小学校は、
異質なものを排除しようという集団心理が働いています

僕もあまり小学校でいい思い出はありません

例えば泉流星さんが、
野球帽を欲しがったり、
スカートをあまり履かないだけで、
からかいの対象になっていました

自閉症スペクトラムであったためか、
人と違う格好をすることが、
みんなから浮いてしまって損するという考えが思い浮かばなかったそうです

また関西出身で、
周りが関西弁を使う環境でした

しかし泉流星さんは、
標準語のアクセントでお話しされていたそうです

テレビやラジオで覚えた、
標準語のアクセントをそのまま話してしまったからです

自閉症スペクトラムによく見られる、
書き言葉を使って話すという特徴が
あったためだと思います

言葉のアクセントも、
異質さとして見られていたようです

義務教育に、
あまり良い思い出がないぼくには、
すこし読むのがつらい話が多々ありました

それでも、
自分を生かせるような場所へ行こうと、

自分の場所を探し続ける物語は、
多くの場面で共感できました

まとめ

ポイント

☞アスペルガーの女性の半生

☞留学や転勤、結婚、依存症など

☞様々な問題と向き合う

☞本当の自分を知る物語

子どもときから異質さを感じてたこと、

自分の居場所を探すこと

大人になってからASDの診断されたこと、

ぼくには共感できることがたくさんありました

とても素敵な本なので紹介しました

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