発達障害者の女性漫画家へインタビュー。働き方、工夫、ASDに向いている?

こんにちは。三原たか です。

大人の発達障害者です。

自閉症(ASD、アスペルガー)の漫画家
A子さんにインタビューしました

A子さんは漫画家として
本を何冊も出版されているプロのかたです

以前から知り合いで、
今回は取材を承諾して頂きました

本インタビューでは、
A子さんが発達障害だとわかった経緯、
生きづらさ、有効だった治療方法、
働き方や悩むことについて、

答えて頂きました

同じ発達障害のかたは、
共感することが多々あり、
参考になることもあるかと思います

注)A子さんは、
発達障害を開示せず
クローズ就労をされています

そのため、
作品紹介や名義の公開は、
省かせて頂きます

発達障害だと知った経緯

三原:こんにちは。インタビューを始めます。よろしくお願いします!
発達障害だと知ったのは大人になってからでしたっけ?

A子:はい。知ったときはすでに漫画家になってました。

三原:発達障害だと知ったきっかけは?

A子:きっかけは人から指摘されてです。

三原:指摘したのはご家族とかですか?

A子:いえ、占い師さんです。

三原:占い師さんですか!

A子:はい、あなた発達障害だと思いますと言われました。
ただ、そのときは発達障害の関連本を読んだんですけどしっくりこなかったんです。

それでそのまま5年くらいすぎてうつになり心療内科に行きました。
心療内科で発達障害の診断を受けました

三原:診断はどんな感じでした?

A子:チェックシートと心理士さんの面談です

面談で心理士さんに、
女性向けの発達障害の本をすすめられました。
「女性のアスペルガー症候群」という本を読みました

三原:その本読んだことあります。どう思いました

A子:本に書いてある通りで、すごくしっくりきました
チェックシートでも発達障害の傾向があるってでました

三原:へえ、100%ASD(自閉症スペクトラム障害)ですねと断定されたんですか。

A子:初回ではたぶん発達障害だと思いますという診断でした。

三原:A子さんはASDとADHD(注意欠如・多動症)のどちらの傾向が強いんですか?

A子:不注意は少ないからASDが強いと思います
発達障害って人それぞれなところがあって、
私みたく普通の発達障害の本を、
読んでもしっくりこないことがある気がします

特に女性のかたは、
女性向けの発達障害の本を読むと、
この通りだ!って感じること多いと思います

女性のアスペルガー症候群 (宮尾 益知 (監修))

昔から感じる生きづらさ

三原:昔から定型発達の人と違和感があった?

A子:小学校くらいのときから孤独感が常にありました。
小3くらいに死にたいと作文に書いた記憶があります。

三原授業の作文のテーマはなんだったんですか?

A子:授業で確か友達についてのテーマだったと思います。友達はいたんですけど、なぜか書いてしまいました。

放課後、先生に呼ばれてしまいました。先生からは、大丈夫?と聞かれました。
冗談だよ先生って言ってごまかしました。

三原発達障害のかたは子供ときから違和感を感じますね

A子:こないだツイッターで、
主に発達障害者アカウントのかたにアンケートとったんです。

はじめて死にたいと思った年齢はいつですか?って。
高校以上、高校、中学、小学、の4択で小学校(12歳以下)がすごく多かった。

有効だった発達障害の治療方法

三原:どんな治療が改善の効果ありました?

A子:知能検査(WAIS)をうけたことが一番大きかったです。
自分の凸凹がわかりました。

三原:どの能力に凹凸があるんですか?

A子:知覚統合が高めで、作動記憶が低くいです。
聴覚から得た情報を処理する能力が低いんです。

三原:へえー、私は逆に耳からの情報処理が高くて、目からの処理が苦手です。

(知能検査でわかることは、
WAIS-IIIを受けた体験談。発達障害の検査でわかったこと結果と感想にも詳しくまとめています)

A子:あと希死念慮(死にたいと願うこと)が強いんですけど、
対策でエビリファイを飲んで調子よくなりました。
飲まないとすぐでてきます。

三原:エビリファイってうつ病などに使われますね

A子:ええ、私の場合はやる気がでないのを打ち明けたら、先生が処方してくれました
コンサータも試してみたいですが、
絶対にダメって先生に言われます

三原:そういう治療方針の先生なんですね。
ASDの人にエビリファイは有効だと聞きます。
易刺激性(いしげきせい)というまわりからの刺激をやわらげる効果がありますよね。

A子:ささいなことで死にたいと思うことや、
まわりからの言葉に振り回されることが減りました

漫画家として働く

A子さんは子供のときから周囲に違和感があり、
大人になって発達障害とわかり、
色々と治療を試されています

現在の職業は漫画家です。
どんな働き方か聞いてみました。

三原:漫画家を希望したのはいつのときですか

A子:ものごころついたときです。
振り返ると漫画ばっかり読んでました。

三原:どんな漫画を読んでました?

A子:ぼくの地球をまもって。今で言う転生ものです。
がっつりハマっていました。

三原:漫画家ってどうやってなればいいかわからないです。
どんな経緯でデビューしたんですか

A子:私は雑誌のやっている漫画コンクールに送ってデビューしました。

三原:へえー、何作くらい送ったんですか?

A子:20作送りました。

三原:20作も! そんなに書けるならデビューできますね。

A子:はい。けどそれくらいデビューするまでかかってしまいました。

三原:ひと言コメントついたりしたのは何作目からですか?

A子:4作目くらいからです。2位とれてコメントもらえました。
ただ担当者がつくのは1位だけなんです。

三原:高校生のときに投稿生活していたんですよね。

A子:はい。高校生のとき1度デビューしました。
そのあと連載終了して美術学校を出てから再度デビューしました。
今ならデビューは漫画コンクール以外にもあって簡単だと思います

三原:ネットに投稿したりってことですか?

A子:はい。ツイッターで投稿してバズったり。
デビュールートは増えていると思います。

三原:発達障害者は漫画家に向いていると思いますか?

A子:漫画は自分のペースでできるのがメリットです。
一人でできますし、その反面に納期の管理が大変です。

三原:漫画家って一人でできるんですか?小説家は一人でできると思いますが

A子:多人数で書いている人が多いですね。けど私は一人でやっています。
一人だと時間がかかってしまいます。

三原:仕事のときどんな工夫をして発達障害を乗り越えていますか?

A子:
私は耳から得た情報の処理が弱いんです。
心理士さんから電話よりメールをベースにしたほうがよいとアドバイスを受けました。
そのため担当からはメールやネームに文章を書き入れしてもらっています。

三原:お願いして文章にしてもらってるんですか?

A子:担当さんには文章にしてもらってもいいかですかと依頼しました。
発達障害であることは言わずに、伝えたらOKしてくれました。

三原:漫画家でつらいなって思うときは?

A子:納期がつらい!
やるき、モチベーションのコントロールが難しい。気力がない!
絵を書いていると机から離れたくなります。

三原:どんな工夫してますか?

A子:我慢したりツイッターして気分展開してます。
あとは制限時間を決めて働きます。
45分仕事して15分休憩するみたいな。

三原:ツイッターですか?
中毒性ありませんか。

A子:ツイッターにのめりこまない
危険!危険!ツイッターは危険です。

三原:漫画家特有の打ち切りの不安は?

A子:来年どうなっているかわからないのは不安です。
雇用保険がないから仕事がなくなると不安が大きいです。
あと厚生年金じゃないから将来が不安です。

お金がないことも不安です。
漫画家は収入が多そうって思うけどそれは一部の人です。
実家ぐらしだからなんとかなっています。

三原:収入が多い漫画家は一部だと思います

A子:ただ周囲で高収入な人がいて差を感じます

三原:漫画家で嬉しいときは?

A子:作品のレビューがあるとき嬉しいです。
ねらい通りの感想があると伝わったなって思います
あと作品を収めるときに達成感があります

三原:漫画家でつらいことは?

A子:絵を書くのは正直しんどいです。
特に下書きがつらいです。
ネームよりも本書きよりも下書きは辛いです。
けどネームは楽しいです。

三原:へえー、ネームは楽しいんですね。
下書きや本書きよりも向き合えるなら、
アシスタントや美術担当よりも漫画家に向いているかもしれませんね

発達障害特有の仕事でのトラブル

三原:ASDの傾向が強いA子さんは、
その特性から仕事でトラブルを起こしたことありますか?

A子:担当さんとのやりとりで、
メルトダウンをおこしたことあります

担当さんが以前言ったことと違くて、
一度かきあげた原案を大きく修正する指示がでました

パニックになり、
電話で一方的におかしいでよね、
話が違うじゃないですかって言ってしまいました

三原:ASDが苦手な予定の変更が引き金になったんですね。

A子:マンガの仕事は書き直すことになっても、
お金が発生しないんです
それもあってか余計に言葉が強くなってしまいました

三原:話が変わるなんてひどいですね。
担当さんとその上司で意見を一致させてなくて、
異なる指示がでたんですかね

A子:それもあると思います。
電話したあとメルトダウンをおこしてしまって、
体調を崩してしまいました
三原さんはメルトダウン起こしたりしますか?

三原:私の場合は、
口から言葉がでるのではなくて、
無口になったり動けなくなります。
休日にベッドの上で重力と戦うことがあります

※メルトダウンとはパニック発作ともいい、
ストレスによって無気力感、緊張、衰弱が非常に強くなることです

自閉症者は引き起こすことが多いと言われてます
くわしくは、メルトダウン5つの対策と予防 ASD(アスペルガー・自閉症)の天敵!にまとめてます

発達障害を公開しないことについて

三原:発達障害であることをオープンにしてますか

A子:クローズにしています。

三原:クローズ就労である理由は?

A子:本当はオープンにして配慮してもらいたいです

ただ漫画家は自営業だから配慮してもらうのは難しいなって感じます

オープンにしてあつかいにくい人のレッテルをはられそうでこわいです

三原:発達障害のマンガを書くことは考えてないんですか

A子:心理士さんによく言われます(笑)
正直考えてません。
発達障害の本はたくさんあって、
自分が書かなくてもって思うからです

もし発達障害をテーマにしたマンガを書くならオープンにするかもしれませんが

三原:オープンにしようと思ったことは?

A子:言うなら、発達障害だと伝えないと思います。

病院で脳の診断を受けてこういう傾向がある、と伝えます。
実際に仕事ではメールにして欲しい、とお話し受け入れてもらっています

三原:最後に発達障害で漫画家を目指す人にアドバイスを

A子:体力勝負なので体力をつけたほうがいいです。
私も筋トレをやろうか悩んでいます。

定型発達の友人の作家は筋トレしています。
体調不良で運動は難しい人もいるかもしれませんが。

三原:筋肉を信じるということですね
今日はありがとうございました

インタビュー後はA子さんの希望により鉄板焼き屋で食事しました。
おいしく頂きました。




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